2005年12月18日

《キャッシュフローの感度》

経営者になってそれまでと一番何が違うかと云われると、キャッシュフローに対する感度が違うと思う。
一般のサラリーマンであれば、働いて→お金をもらう→その資金の範囲で消費→収入より大きい消費をする時はローンを組む。というお金の流れが一般的だろう。
これが経営者になれば、資金を投下し→売り上げて回収→資金を再投下。というお金の流れになり、これがずっと繰り返される。
資金の流れ方が違う事により、資金量を増すための手法が変わる。
サラリーマンであれば、労働価値をあげて、もらう金額を増やし、消費を抑えれば資金量は増す。
経営であれば、投下した資金量よりも多くを回収する事と、投下回数を増やし早期に回収する事によって資金量が増す。
「たくさんもらう事」は両者共に共通であるが、資金の使用についてはサラリーマンは「抑える」、経営は「回数を増やす」と資金の増やし方に根本的な差がある。ここにキャッシュフローに対する感度についてサラリーマンと経営者に決定的な温度差が生じる事になる。
特に「借金」に対する捉え方に大きくかかわり、サラリーマンでいる借金とは自らの労働力で返済すべきマイナス分と云うものであるのに対し、経営者では投下する資金量が増す事は回収量も増やす事になり、また投下回数も増やす事になるために「投下資金量よりも多くを回収できる」という前提さえ崩れなければ、プラス要因の方が大きい。
前職で証券にいた頃、経営指標を他人事のように見てきたが、実際経営者になると新鮮な感度として資金のフローについて考えさせられる。経営者が借金嫌いでは務まらないのが会社と云うものなのだ。