2007年3月29日

お金を生むシステム

さて、創業当初の話をつづっていて少し振り返ると、当時は私もみんなと一緒に殆ど現場作業員として出動していた。・・今もよく出ているけれど。
ワーカーの生む金額というのは分かりやすい。一案件、あるいは一日いくら、一ヶ月いくらという形の請けた金額から参加した人数や日数などを割っていけば一人あたりの労働でいくらの金額が上がったのかわかる。
一人親方っぽく数人でやっているうちはそれだけで分配していけばよかったのだけど、人数が膨らんでくれば口をあけているだけじゃ仕事は来ないし、事務手続きも煩雑になる。募集をかければ広告費もかかるし、最低限の品質を提供する為には教育だって必要になる。
そこには「コスト」がかかるのだという事の意味の重さを人数が増す毎に感じるようになった。
当社は今でも「売上」を一番の経営指標にしている。
日単位で払っているスタッフもいるので、その人達にも生活できる最低限支払える仕事のボリュームを確保したい。
一方で、自分がワーカーでなくてもまわるだけの利幅は確保したい。
最近スタッフの一人に「僕が働く事でお客様から戴いた金額が報酬以外の何に使われているか見えない」といわれた事がある。
営業しなければその仕事は取れないし、請求しなければ会社に入金は入らない。計算し、振り込まなければ給料という形でみんなの手元にいかないし、必要に応じて金融機関からの融資を受けるための交渉は安定した経営に欠かせない。そのコストを負担する「お金を生むシステム」を作るために売り上げた金額からみんなの報酬を引いて残ったお金は使われている。見えない、というのは大きなショックだった。
最初は私が実作業をこなしながら、真夜中までかかって一身にそのシステムを担った。
次に私が実作業からある程度はずれて、そのシステムを担った。
そして今、事務所を移転し、業務委託として各案件毎に協力してもらっていたスタッフを正規に雇用し、私が担っていたシステム部分を人に伝達できる体制を作っている。
会社ってそんな感じのお金を生むシステムという側面があって、けしてそれは卑しいものじゃない。「利益」を上げるからこそ、みんなの生活も安定するし、より良いサービスを提供できるだけの体制も出来る。支払った税金で行政サービスも充実するし、インターンや講演を通じて産学で連携できる機会も作れる。
私は今、1千万もの資産がある。
30歳。貯金だったら見事なものだけど、殆ど全て一つの形を取っている。
それは、株式会社トライアンフという会社の株券の形。
上場もしていない流動性の無い状態で、未だ配当も一回も出ていない、そんな形。投資家としてはハズかしい程の一点投資。だけどだからこそこの会社は私の夢そのものだ。
創業時、私の手元には100万円があった。前職でいただいた給料と大学の頃からもっていた有価証券。
ワカモノっぽく車を買っても良かった。家を買うローンの頭金にしても良かった。
でも、使って消えるモノよりも、お金を生み出すシステムとしての「会社」が私は欲しかった。
会社が成長していく過程で、私もいくらかの給料を取った。
旅行に行ってもよかったし、夜な夜な豪遊してもよかった。
でも、使って消えるアソビよりも、夢を膨らませる「増資」に全てつぎ込んだ。それで会社が発展してみんながいい仕事できてお客さんもよろこんでくれて、そーいう事そのものが私自身の幸せだと思うから。
お金の使い方なんて、人それぞれだし、幸せの形もお金の有無じゃないと思う。私個人の例を出したのは、私が会社で上げた利益をどんな風に使う人かを分かってほしかったから。
だから、この記事を読んでくれている人達がそれぞれ「お金を生むシステム」を模索する事は悪い事じゃないと思う。というか、これが理解できないと会社の管理職とかに昇進しちゃダメなんだと思う。成果主義が浸透してきたらずっと初任給のまま・・。いくらお金のために生きているわけじゃないっていっても、それはちょっとって感じると思う。
最初はね。自分の持っている「資本」を考える事。資本って毎月の給料の事じゃないよ。貯金の額でもない。
簡単に言うと、「貯金(とかお金に変えられる権利もん)−借金」。これを大きくマイナスにしてはダメなのだ。できれば膨らましていく仕掛けを自分なりに考えなきゃ。
うーん。長くなりそうなので、続きはまた書きます。