2006年4月7日

《小沢氏圧勝》

日本は、比較的自由で規制の少ない自己責任で動ける社会を目指してリーダーシップの強い主導者が導く政党グループと、もう少し内向きにコンセンサスと組織力や論理力によって管理運営される政党グループの二つの政党グループにより、政権交代を行う2大政権グループ選択時代を作るべきだと思う。
グループという単位で区切りたいのは、現在云われているように二大政党制というたった二つの党で全ての政策が完全に二分する状況と云うものが考えにくいからである。もっと具体的な政策を各党が掲げ、審議する法案によって都度グループが合従連衡する方がわかりやすい。そうした方が選挙前に掲げた公約を妥協するよりも誠実だと思う。「反対するだけ」の永久野党というものに存在価値は全く無い。
民主政治が多数決を基本として動く以上、自らの政治方針を実現するために多数派工作して政権奪取できる政治家がどうしても必要になる。全ての政治理念を統一する事は出来なくとも、一定の目標の元にいくつかの政党が手を組んでグループ化し、政権をとって共通する改革を推し進める事は出来るはずだ。小沢氏が前回の細川政権時に実現した「小選挙区制」はまさにその事例であるし、その小選挙区制という制度自体が政権交代を実現する議席の揺れ動かしを可能にする体制そのものでもある。
なんにしても、一党が長く独裁する政権が民主的であるはずが無い。権力基盤に監視の目が届かなければ特権を利用した腐敗構造が出来るのは自然であるし、権力者が自ら権益を手放す事は難しい事だ。かつて「派閥と金」の構造を断ち切るために、「小選挙区制」を作るという目的を定めて野党連合による政権が必要であったのだろうし、現在であれば「官僚・公益法人の天下りと金」の問題にメスを入れるためには、やはり新しい政権が必要だと思う。
小沢氏は、小泉首相を「パフォーマンスのみで改革の中身は何も無い」としか評価していないようだが、小泉首相は自民党という与党政党の中で可能な限りの自浄作用を働かせた功績がある。対立する政党であれ、評価できる部分はきちんと評価する姿勢は必要だと思う。その上で自民党内部での改革では構成基盤である官僚組織が断ち切れず改革の中身が伴わなくなってしまった現在の状況を国民に説明し、しがらみの無い新しい政権であればバッサリ変革できる点をアピールすべきだ。
一つの政権グループで目標にする案件は、「郵政民営化」のように一つ・二つと各政党が合意できる照準に絞るべきだ。今回小沢氏が政権交代のために各政党を結びつけるためには、「公務員の天下り禁止と官僚機構改革」だけを掲げればそれでいいと思う。照準を絞れば共産党であろうが社民党であろうがグループ化して多数化する事が可能だろうし、支持基盤が労組だろうが医師会だろうが問題ないはずだ。
前原前代表の「全てに対案を」「脱労組」では100年たっても新しい政権を取るだけの多数派にはなれまい。
一度政権を取って与野党逆転してしまった後は、政策によって与党連合が崩れる事もあるだろうし、自民党も野党になれば派閥単位で与党に擦り寄る事もあるだろう。また、「与党」であることを前提としたしがらみから開放された状態になり党内をリフレッシュする事も可能になるだろう。その後冒頭に示した2大グループを構成すべく、政界の再編が進めばそれが一番望ましいと思う。
とにかく日本の最初の課題は政権の交代可能な成熟した民主主義政治を国民が作ること。端的に云えば、官僚の無駄遣いで国が壊れるのを国民が黙って見過ごすなと云う事。新生小沢民主党には期待している。