2008年3月29日

間接部門

本部は小さいほうがいい。
間接部門は最小であるべきだ。と、最近までは定義していた。
権限はできるだけ現場の近くに移動して、収益や成果の多くは利害関係者になるべく配分されるべきだと思う。
利益を生むフロント部門のミッションは簡単だ。より多くの売り上げを上げ、よりコストを下げて利益を生み、自分の仕事は極限まで効率化させる。つまりは、収益をつむ事が成果を最大化させる。
一方で、バックオフィスのミッションは実は同質ではない。間接部門は、売り上げではなくて予算で管理されるものだ。予算は社内のコストとなるもので、当然最大化が目的ではない。コストを抑えることは重要だが、本来必要だから予算化されているわけで、抑えられるならその仕事はカットされるべきものだ。結論としては、予算内で最大のサービスを実現する事が求められる。しかし、効率的に働けば働くほど、何かがカットされていく。
バックサポートのミッションは何か。それは、予算内で必要なサービスを正確に行い、継続可能にシステム化・教育を行い、必要でない仕事をそぎ落とす事だろう。
最小であるべき間接部門は、それゆえに人材の確保が難しい。
本部は優秀な人材が集まるべきだ。しかし、人材が優秀であればあるほど確保に必要な予算は膨れ上がり、一方で優秀であるがゆえに効率化され削られる。
間接部門に対する要望の声は多い。また、間接部門が仕事を回さなければ、成果は何一つ実現しない。
本部は小さいほうがいい。それは間違いない。
でも、最小であるべきではない。最適なサイズであるべきだ。
最適な予算を組むために、この時期のマネジメントは多忙となる。

2008年3月20日

会社説明会

うちの会社は、まだまだ新卒向けに会場を借りて会社説明会をする余裕が無い。
しかし、学校で開催してもらえる説明会には出る機会があって、そういうところは事前に興味のある子にアナウンスしていてもらえるので、とても説明しやすい。
特にブースタイプで数人ずつ話せるような時は、「実際のところこんな仕事を毎日しています。」「会社の雰囲気はこんな感じだよ。」というところまで伝えられるし、気軽に質問も受けられるのでしっかりと会社の事や経営がどっちを向いて走っているのかが伝えられる。
さて、うちの会社は年間を通して採用活動をしているので、興味を持った学生さんは是非何らかの方法でうちにアクセスして欲しい。電話でもいいし、ホームページの問い合わせフォームからでもいい。時間があればどこにでも会いに行って話せるし、最終的にうちに決めなくても色々な相談にのることも出来ると思う。学生の就活時期というのは、インターン時期と同様に特別な期間。私も良い学生に来て欲しいので自分の言葉で本音を話すし、多くの中小企業の社長はきっと真剣に学生に向き合ってくれると思う。
さて、本題。今日書きたかった事。
最近学生の就職相談に乗るときに、最後に必ず伝える事がある。
「君にとって良い会社とはどんな会社か。」という問いと、その答えのうちの一つ。
もちろん、各個人で良い会社の条件というのは様々だろうし、本当は正解なんて私にわかるはずも無いのだけど。
でも、その問いと一緒に、「自分を理解して育ててくれる会社に行きなさい。」と言っている。
私がいいなぁ、採りたいなぁと思っている学生に内定を出して、残念ながら他の企業を学生が選ぶ。そんな時、その子にとっていい進路であれば、その選択は私も祝福したい。
そして、私が祝福できる「いい進路」の基準というのが、「私よりその子を理解して育ててくれる会社なのか?」という一点に尽きるからだ。
会社の規模や条件、ネームブランドで選ぶのも構わないけれど、新人のうちに仕事をする上で会社の何が一番大事かといえば、ガムシャラに頑張る事と頑張りを成長に繋げられる育成ノウハウを持っているかどうかだと思う。
そう思えばこそ、私は今くらいの規模のうちからインターンや新卒育成のように小規模企業にとって負担が重い取り組みを自分自身で手がけてノウハウ化してきた。
現在の新卒志向は安定がキーワードで、ベンチャーは採用戦線で苦戦するのはわかっているけれど、うちにくれば全力で育てる。そういうところに魅力を感じてきてくれる子がいるといいなぁ。。

2008年3月14日

会社役員

3月期なので、新規・切替の契約が多い。
重要な契約事項には、各社の経営トップやサポートしている役員が交渉を担当する。小さな会社では間違いなくそうだ。
会社規模が小さくて、積極的なところ、いわゆるベンチャーと呼ばれる会社集団には善良な会社もそうでない会社も話を寄せに来る。そしてそれは、とても見分けにくいものだと思う。
交渉を担当する会社役員には、非常に誠意があって善良な人が多い。自分自身も会社という多くの人が働く公器を運営する上には誠実でありたいと思っているので、おそらくどの会社の会社役員も、少なくとも自分の会社に対してはとても誠実だし善良だ。そして交渉の場にはその誠実さを精一杯示す。自分の会社のメリットになる事をしにきているのだから当然だ。
しかし、おそらくこれはどれほど悪辣な運営をしている会社どおしの役員交渉も同様なのだろうと思う。それはそれは、びっくりするほど人格者の話し合いになる。
そして、だからこそ普通の役員は一般社員以上に同義やモラルに敏感だ。しかしそれでいて、自社以外についてはドライに考えている経営幹部は結構多い。これは一極では実務的でドライであるために、「顧客に重点を置くために社員には我慢してもらう」「社員に手厚く報いるために、協力会社のコストは絞る」「顧客のためといって他のステークホルダーに迷惑をかけられない」といったそれぞれのバランス感覚が働くからだと思う。経営資源に限界がある限り、すべてを最高・大満足に持っていくことは出来ない。何を取るかは各社のイロともいえる。
役員商談はそのバランスがどちらに偏っているのか、どれだけ傾いているのかという事を見極めるところだと思う。それは、多分世間が感じている善悪二元論とは一番遠いところにありそうだ。
創業者にしてもその回りの役員にしても、殆どの会社はそれまでやっていた会社のスピンアウト組だと思う。会社を興すならそれが一番成功しやすい。お客さんかスタッフか、ノウハウか、何かを持っていればそのコネクションは創業後の一番の助けになるだろう。そしてそれこそが会社役員の考える根幹であることが多く、バランスの偏りもそちらに傾く。
だから会社のスタンスは経営者の経歴を見ることから始まって社歴や取引内容を見ていけばなんとなく伝わってくるものだ。
そんな中、うちの会社はちょっと異常だと思う。私の前職の証券には全く絡んでいないし、取引先も殆どがゼロベースから始まったものばかり。会社設立時には自分しかいなかったし、出資金も全額自己資金、コアで独占的な商材やアイデアがあるわけでもない。。全然しがらみがないし、一方で設立前から何かを共有して信頼に繋がる中心的なもの無いといえる。
だからこそきっと、バランスはまん丸に近い。
最初の話に戻って、そんなバランス型のうちが積極的に動いていると、様々な会社が交渉に来る。儲かるから自分のほうに傾かないかとお誘いもある。ボランティアみたいな、まぁ喜んでもらえるならいいかな、みたいなものもある。
会社の方針を決める交渉というのは、交渉の場所を離れるとずっしり疲労感を感じる。何件も重なるとクタクタだ。相手も実はそうなのかなぁ等と思いながら、今日も相手先の企業リサーチ。
普通の会社と良い関係がつくれればとりあえずそれで良い。望まれても超最高のサービスを提供はできないと思うし、でっかい儲け話も要らないので、良い関係を築くためだけに話し合うことができたらいいな。

2008年3月14日

《社会人に聞く会》

久しぶりのエントリです。
今日は地元の中学校の「社会人に聞く会」で20分×2回のお話をします。
年度末の仕事に追われながらも、なんとか原稿や資料を作成し終わり、インターン生を相手に練習してみたり、準備は充分できました。
準備にあたり、「仕事とは」「会社とは」という根本的な問いを何度も自分に問いかけて、学生の頃に感じていた社会人像や会社員時代に感じていた働くことに対する不安や不満、創業したての頃の根拠のなさそうな自信などを振り返り、自分自身の積み重ねたものを客観的に振り返るいい機会になったと思います。
ちょうどこの3月という時期は、新規の契約が多数交わされえる時期でもあり、たくさんの会社と交渉するタイミングで、それぞれの会社の「仕事に対する取り組み」を汲み取る本当に良い感性のブラッシュアップになったと思います。
あと、数時間で中学校という何だか非常に懐かしい場所でこの一週間ほど考えていた事を伝えるのだけど、社会人になる事を「苦行」のように不安に思っている子供たちに、自分の生活の延長線上にある「楽しいことも悩んでいる事も普通にある日常」を伝えられたら良いなと思います。
そして新しい年度で新しいプロジェクトに参加する、うちの社員に対しても実は同じメッセージを発したいと思っていて、新規に一歩を踏み出す事は人生の中で普通に何度でもあって、越えるたびに新しい成長を実感してもらえたら会社にとっても自分のキャリアにとっても大きな一歩になると思います。
そういう働く人の事や働くという事をしっかり考えたいと思っている会社だからこそ、お客様との信頼関係の構築やしっかりした契約、プロジェクトの入口・出口戦略を大切にしていることを関係者全員に理解してもらいたい。
さぁ、夢を語りにいこうか。

たまには思ったことをつらつらと。
サービス品質の向上を考える時に、「誰か一人の圧倒的なスキル」に頼っていてはいけないのだ。確かにそれは見えやすい形での技術力って事で露出するにはいいのだけど、誰かに頼ったその人にしか出来ない技術は、組織的なサービスとしては良い物にならないはずだ。
それよりも、安定的で誰でもできる技術の底上げをして、「誰でも何時でも何処でも」を実現した方が圧倒的にサービスの付加価値を高める。
これは、大きな声で言えばサービサーの成長意欲も潰すし、ともすればお客さんも自分の関係する仕事枠内では一点高品質を望んでいるからニーズの逆行にも思える。
自分がマネージャとして社内の事を考えてみれば、スーパーエースに頼りきる構造がどれだけリスクの高い事かすぐに分かるだろう。
アウトソースやサービスになると途端にその危機意識が崩れるのは、コスト意識や労務の問題からお客さんが解放されているからだ。
普通の発想に基づけば、代替の利かないトップ営業マンや特定の一社のお客さんにのみ通じるSEなんていうのは、リスクの幅を増すばかりで、良いのはその人が稼動している瞬間とそのお客さんだけで、社内のリスク管理や会社対会社の信頼関係なんて野放しになっている状態だと思う。
だからここ暫くの経営戦略としては、誰でも何時でも何処でもを実現する為の底上げと、自分が代替の利かない営業者に陥らない事や特定の人が特定のお客さんにだけ提供できるサービスにならないように、業務の分担を進めてきたのだけれど、これが中々理解を得られない。
少数精鋭は危ないという意識を社員やお客さんが持てるかどうか、という問題は、きっと自分が考えている以上に難しいのだと思う。