2005年3月12日

《法務》

ニッポン放送の新株予約権発行差し止めを命じた東京地裁の仮処分決定は、日本の司法制度がまだ生きていることの確認となり非常に喜ばしいことだ。
ライブドアの立会外取引は裏技的な合法策で白に近いグレーだが、日本放送株の割当増資はどこからどう見ても真っ黒であった。これで東京地裁が差し止めに行かないようであれば、司法を金で抑えているとしか考えられなかったのだが、公平で良識的な判断を東京地裁が行った事については、非常に評価できると思う。
さて、白に近いグレーゾーンというものは、企業がサービスを行う上でギリギリを攻めるのはむしろ当然であるといえる。法律というものは、解釈の仕方によって意見が分かれるものであり、けして六法を暗記しているからといって、法律のプロと呼べるものではない。
証券の世界でも同じことがもちろん云えて、白黒を判別するのには、多くの判例や前例を精査するに尽きる。ライブドアの施策は合法の枠内で、前例もあるのでむしろ白に近いグレーである。
前職の証券会社でもサービスを新しく行う上で、多くのグレーゾーンを踏みぬけてきた。ひとつは、ループトレード・日計り商いであり、これは散々議論をつくして関連省庁とも調整してルールを定めたものである。が、前職の法務・監査担当者は経緯も年々変化している法律や省令もまったく理解せずに昔の対面営業時の社内ルールそのまましかわかっていない。それでは、日計りもループもろくにできないのだ。何年かに一度、SECから調べに入られるのだが、このあたりのルールを知らないためガチガチの当局ルールを押し付けられたりしているらしい。法務は規制緩和でルールが変わる現在、素人の法務・監査担当者ではどう考えても役者不足だ。
四月から個人情報保護法がスタートする。うちも十分に注意しなくてはならない。
スタッフに心がけてほしいこととしては、チェックシート等をファックスする際には送信先に十分注意する。手順書・その他資料の持込・持出・コピーなどは極力当社では行わない。ID・PASSなどの重要な情報は、慎重に取り扱う。等であるだろうか。
今まで事故で済まされていた部分が、行政処分等の対象になる。また、会社でかばいきれず、スタッフ個人の責任にまでなる事がある点を特に留意してもらいたい。
一度、その辺の研修も行う必要があるだろう。