2009年3月12日

《軸足の転換》

ITサポートを取り巻く業界では、この数ヶ月で大きな変化を迎えている。
一つは、昨年からの大手登録型派遣業務の廃業・撤廃によるスポット業務の受け皿の消滅。
もう一つは、年末からの常駐外部スタッフ切りによる企業内部の緊急案件の受け皿の消滅である。
この流れは何を意味しているのか。
企業活動には波がある。
沢山仕事があるときもあれば、供給過剰になって調整しなければいけない局面もある。在庫が増えてしまう時期もあるし、足りなくなる時だってある。もちろん需要がバブって何でも売れる時もあれば、弾けて何も売れなくなる時だってある。
世界的な調整局面となっている現在では、バッファを削りに削っても追いつかないくらいにモノもサービスも売れなくて人手は過剰になっている。生産を限りなくゼロにしても有り余る在庫を処理するだけでもまだ暫くは時間がかかる。
では、在庫の調整局面が終わったときや、新たな需要がどこかで喚起された時、バッファが無い状態でどうやって対応するのだろうか。
決まっている。
ノウハウを持っている、価値観を共有できる外部にそのバッファを持たせる事になるのだ。
昨年からのガソリン騒ぎを覚えているだろうか。
どんどん高くなっていき、リーマンショックと共に暴落してきた。
為替の騒ぎを覚えているだろうか。
どんどん円安に推移していたのに、リーマンショックとともに急に円高にふれてきて、日本の輸出関連企業を天国から地獄へ導いた。
しかしながら、ガソリンやら商品の暴落も、急激な円高傾向も今年に入ってから既に下げ止まったり反転したりしだしている。いつまでも急激な変化をし続けるマーケットは無く、大きく動いた後はやはり大きく戻すことになるのだ。
残念ながら世界の株価やアメリカの住宅着工数が同様に落ち着いたとはとてもいえないので、まだまだリセッションは続くだろうけれど、どこかで次の波が押し寄せる事は疑いない。
さて、冒頭の業界の流れに戻ろう。
この数ヶ月で、確実に固定の「安定業務」は消えていった。各社同じだろうと思う。一方で、バッファを失った各社からの「スポット業務」は静かに増え続けている。実際にバッファを吸収する受注余力を各社持っていないことは段々明らかになってきている。
そしてまた、バッファを吸収してきていたスポットをメインとする大手業者というのは今や存在すらしない。
軸足は?
軸足は反転攻勢の時期に合わせるように持っていようと思う。
そこまでには、暫く時間がかかるかもしれないけれど、人と人の中に蓄積される技術やノウハウは一朝一夕に身につけられるものではない。
今はできるだけ負担を少なくしながらバッファを可能な限り保ち、凌ぐ時期であって、手持ちの人や資源を軽々しく切り離す時期ではない。
ガソリンの高騰した半年くらい前の時にこのブログにも書いた事だが、「休むも相場」なのだ。天辺やどん底でパニックになりながら判断して、ロクな結果になることは無い。
こういう景気の悪い時期には、実は人間関係は築きやすいし人やノウハウも手に入れやすい。
バッファとしてあふれ出るスポットもポロポロ発生している。
財務も良好で資金も充分にあるし、ずっと誠実に仕事をしてきた作業者を取引先も高く評価してくれている。
必要な変化は受け入れて、じっくり行きましょう。