2005年3月29日

《育成》

人を育てたいと思う。
なぜだろう。今思うと、進学・就職・企業、どこの一瞬を切り取っても、「もし今の自分があの時の自分を指導することができたら」と考えるとやってあげたいことが山ほどある。
それは、後悔とは違う。今までの支援者が物足りないわけでもない。
それでも、教えてあげたいことが限りなくある。そして今後何かをするときも、未来の自分がいてくれればこの上なく頼りになることは疑い得ない。
人を育てたいと思う。
自分が悩んできたことや、解決してきたことは、汎用が効くように一般化する癖がついている。
いつかこの経験が役に立つように。いつかその知識を応用することが出来るように。
私が幸せに感じる瞬間を分類すると、「何かを伝えることが出来たとき」は必ず上位に入るだろう。
そして同様に、何かを受け取ったときも人生意気に感じるものだ。
それはきっと、自分も育てられたいときっと思っているからだろう。

大往生という言葉がある。自分の人生を生き切って、そして逝った人の事だ。
誰もが平等に訪れる死の瞬間に、自分はどれだけ満足していけるのだろう。
いつもと同じように、いつもしている何かをしているのかな。
何か変化を求めて、新しいことに挑戦しているのかな。
大好きな誰かに、無念さを伝えているのかな。
人生最後の瞬間に誇りを持って往けるように、毎日を精一杯過ごしている。

普段なかなか振り返ることの無い自分に、率直に語りかける。
自分の行動指針に「正義」は無かった。
ただ、「変化」を渇望していた。
なぜか?
思えばそれは我侭で独りよがりの理想かもしれない。
その理想に現実を近づけるため。実現する力を手に入れるため。
自分が只流されるだけの存在でいないため。
変える力を欲していた。変わる何かを期待していた。
自分がいるこの世界で、過ぎていく時代に。
変わっていくことが何も無かったとしたら、何も自分で変えることが出来なかったとしたら。
きっと自分の生きていく価値は無いと思う。
きっと自分が存在する意味は掴めないと思う。
振り返るといつでもそこには、変わってくれ!と叫んでいる自分が見える。

世の中には、ハイリスクハイリターンの話やその成功話というものは、溢れる位に存在する。
高いリスクを潜り抜け、莫大なリターンを手に入れる。確かに男なら胸躍るストーリーだろう。
だが、経営が考えるべきはリスクに対してリターン大きな案件をどこまで手がけることができるかに尽きる。
しかし、ハイリターンを望むときにリスクが高くない、という案件は殆ど世の中には転がっていない。
やはり手の届くところにあるのは、ローリスク・ミドルリターンの案件である。
世にあるサービスや商品で、こんなものになんでこんな価格がついているのだろう?と疑問に思ったことは誰でもあるだろう。
だが、「専門家が作ったのだから」「雰囲気もサービスだから」といった理由でリターンは大きくなる。
さて、こんなことを語ると、夢がないとか面白くないとかの反応が返ってくる。
絵的に面白い経営がすばらしいというならば、私はすばらしい経営者になんてならなくてもいい。

2005年3月25日

《トレンド》

私が株式投資に出会ったのが18歳のとき、思えばもう10年も昔になる。
あの時投資指針として掲げたもので、現在の行動指針になっていったものがひとつある。
それが「トレンドに乗る」というものだ。
「金融」、もう一回り大きく捕らえて「経済」にかかる全ての事象にはトレンドが存在している。
より長く、より広く、より平準化されたものほど信頼性が高い。
この波に乗るのだ。
これを踏まえたならば、「どんなにうまくいっているものでもトレンドであればチェンジするときがくる。」
「どんな成功体験であっても、それが通用しなくなるトレンドはやってくる。」という発想は自然なものといえるだろう。
さて、次に重要なことは、「ではトレンドチェンジはいつくるのか?」
という点だろう。
第一に、トレンドとは、より大きく広く捕らえれば必ず周期というものがある。この周期によってある程度予想がつく。
そして、第二に。この第二ポイントが重要なのだが、「細かくは誰もわからない」。である。
この「ターニングポイントはピンポイントでわからない。」を前提にするとストップロスや方針転換を考えるポジションとしては次の2点に限られる。
すなわち、「早めに切る・動く」か「トレンドチェンジを確認して切る・動く」かである。
どちらが良い悪いとも一概には云えないのだが、前者はトレンドが手堅い局面で、後者では不確定要素が多い局面でそれぞれ有効であるといえる。
人生であれば、当然鉄鋼株を扱うように堅いトレンドの中で予想ができるわけもないので、当然選択としては「トレンドを確認してから動く」という形になるのだ。
これは、「損は早くきり、益は長く持つ」という鉄則にもかなう。
この考えで行く限り、イノベーターではありえないし、第一人者たり得ない。
だが必ず「大きく負けない」。一発勝負でない限り、真の勝者とは沢山手を出し、何度負けていたとしても負けは小さく納め、勝ち易きに大きく勝つ者の事を云う。