2006年8月17日

《創業直後》

会社を作った直後というのは、なんとなく社長という肩書きにも新しい会社で再出発という印象にも馴染みがなくて、違和感を感じていたような気がする。
取締役も自分しかいないので、代表取締役もなにもないものだが名刺には「代表取締役」とつけていた。
社員も売るものもない会社の代表者というのは、滑稽な感じがするのだが、何よりも始めて会社での売り上げが立った時は、言い様もなく不思議な感じがしたものだ。
地元に帰ってちょっと疎遠になっていた友人たちに連絡したときも、
「あれ?日向いま何やってるん?」
「んー。社長かな。」
「へぇ。すごいねぇ。起業したんだ。」
という会話をしながらも、すごいことはあまりしてなくて、普通にバイトしているよなぁと思ったものだ。
一番違和感として強かったのが、<社長=金持ち>の方程式だ。
「ここは、社長におごってもらいましょぅ!」
等といわれてみても、収入のない社長なんて、固定費が飛ぶばかりで一般のフリーターよりも金額的には苦しい。
失業保険は出ないし、会計士さんから「個人で収入を立てるのはやめてください」と言われるし、社会全体で創業者を盛り上げるってのは表面だけだよなぁとつくづく感じた。
ちょっとニーティな香りのする時代だったが、それはそれで価値のあるヒトトキだったと思う。