2006年4月9日

《7S分析》

先日取引先の方と餃子を食べに行った。
同じ仕事を同じようにやっているのに、進もうと考えている方向や「仕事」に関する「人」の関わり方についての考え方に大きな差があるな、と感じた。
私自身は「現場」を重視して柔軟で自由度の高い経営を志しているし、スタッフに対する期待や考え方についてもより現実に即した方針で臨みたいと考えている。それでも「会社」としての方向を自社に関わる人たちに示す必要はあると思う。今回はそのバックボーンを作るために7S分析を行う事にしよう。
Shared Value
企業の価値観についての共有。当社では、スタッフをすり潰すような仕事の仕方を是としない。また、あまりにもエンドユーザに対して恥ずかしい品質であれば直接のクライアントの要望でも聞き届けられない事がある。だからこそ、直接のお客様にとっては「使いづらい」と感じる点があるかもしれない。それでも、サービスを担当するスタッフとそのサービスを最終的に受け取るエンドユーザが納得する「普通の仕事」をする事を我々は目指したい。
Strategy
共有された企業価値感を具体的に実現するための戦略。そして経営資源をどのように配分するのか。我々は複数の、しかし細かくサポートしきれる範囲のお客様に対してサービスを行う。言葉を変えると、たとえ利益が最大限に上がるとしても1社のお客様だけに集中的にサービスを提供する事はないし、本音で付き合えないほど希薄な関係でたくさんの会社と取引する事はない。どのお客様に対してもけして何も反論が許されないような「下請業者」となって利益を上げるよりも、「協力会社」として自社のサービスにプライドをもって仕事をする戦略で臨みたい。その上でお客様の提供するサービス全体の品質が上がるようにきめ細かい丁寧な仕事ができれば、お客様にもきっと支持していただけるだろう。
Structure
戦略を実現に落とし込む組織。柔軟な働き方を実現し、集めた人材をグループとして充分に力を発揮させるには、人を組織化していく必要がある。現場レベルでの責任者が持つ権限やもっと大きく組織体で考えた雑務を含む役割分担などは、社員層の厚みを増してきた最近ようやく前向きに取り組める状況が出来上がりつつある。
Staff
組織を構成するスタッフ。これまで創業期を築いてきた我々役員二人と、これまで限定された現場ワークの業務委託から徐々に社員化して基幹業務にも取り込んでいっている創業を支えてくれたスタッフ達。更に新入社員や当社のバックオフィス業務や最前線を固めてもらっている協力会社の人達。
社業と共に関わっていただく人々も増えてきている。
Skill
スタッフに期待する能力。急激に拡大・変化する業務の中で、社業に関わる人達に望むスキルも急速に変化してきている。半年前までスキル的に問題なかった人材であってもこれからはキャッチアップしていく必要性があるケースもあれば、これまで活きてこなかったスキルを今フルに使ってもらっているケースもある。協力会社や協力スタッフに望む事も同様で、急速に変化する当社の状況の中で長く付き合っていこうとするならば、変化に対応しながら協力体制を変えていくほかは無いと思う。
System
能力を評価するシステム。当社が全く不透明であるのがまさにこの部分である。一つには「最低限食える事」を何とか達成しようと闇雲になっていた部分でもあるし、当社やクライアントの都合に振り回された交渉や状況の結果でしかなかった部分とも云える。会社全体で上げた利益をどのように配分するか、会社に対してどれだけ貢献してきたかをどのようにシステム化していくか。これは来期以降の重要な課題として現在は先送りしている状態である。望ましい方向は、この事項に関してはトップダウンというよりもボトムアップして集約していく方針で臨みたい。
Style
システムをベースに実際に外に見える当社のコーポレートカラー。私の思いを理想とするならば、現実にお客様から見た当社、スタッフや協力会社から見た当社というのが、このスタイルにあたる。結局のところ、この部分こそが当社の「コーポレートカラー」と呼ばれるものになるのだろう。「仕事が早くて丁寧だね。」「一緒に働く人達も親切で明るくて働いていて楽しいね。」「必要な資料もちゃんと整えてくれるね。」「困った時には何とかしてくれるね。」そんな会社に見てもらえるように私は舵を切っていきたいと思う。
マッキンゼーの7Sは、人と組織の関わりについて考えるには適当なツールだ。中華屋で適当に話していた内容を自分なりにまとめてみたが、手をつけていく順番などは行き当たりばったりよりも今回のようにまとめながら進んだ方が大きくぶれなくていいだろう。形式だけ、ハードウェアだけ整える事はたやすいのだが、人の絡む問題は丁寧に進む方が望ましい。ただ時代がのんびりする事を許さないのであれば、できるだけ効率的に。