2005年8月25日

《キャパシティ》

先月、今月と予想通り大量の仕事で殆ど休み無くフル回転状態が続いている。事故やクレームも多少発生し、あらためて経営の難しさを知る形となった。
仕事量が増える事は事前にわかっていて、準備も可能な限り万全に執り行ったつもりであったがキャパシティをオーバーしている。人材はたくさんの応募があったのに使いきれずにいて、資金にはまだ多少の余裕がある。それなのに仕事が来て請け切れない。まさに「遊兵を作った」という形になり経営としてのマネジメント能力が問われるところである。
「いつでも暇にしている」と思われるのは嫌なのだが、「最近お願いしている人数をそろえてもらえないね。」と云われるのはもっとつらい。やはり機会損失をなくすことがそのまま利益になるわけであるし、信用になるのだ。
最近、コストの枠を広げている事もあり、出費にナーバスになっているということもある。新人を育成する段階で、クレームが付くのを恐れていることもある。今月の前半、私自身が現場を駆け回ったこともあり、各人のスケジュールや財務の数字を把握できないでいた。全体が見えない状態でディフェンシブになりすぎていた結果だろう。
しかしながらメイン案件のいくつかが徐々に片付き、もう一度全体を見渡せる状況になった。ここで足元を踏みしめて次の一手を繰り出そう。やはり本来のキャパシティが全て出し切れれば、もっともっと仕事をこなすことができるはずだ。社内システムも財務改革もまだ始まったばかり。バタバタするのもある程度は想定内であるともいえる。
正直なところ、バタバタしているところが社内にも見えてしまっていた。しかしそのことが結束を深めてそれぞれも一歩ずつ丁寧な対応につながっていく引き金にもなるはずである。
今回のミスを含めた全てのトライアンドエラーがキャパシティを広げていくために、どうしても必要なのである。

2005年8月24日

《事業計画》

第三期事業計画を発表します。
私の持論では、ビジネスプランはビジネスを走らせながら作成するものである。机上でひたすらアイデアを練り上げたとしても、事業はやってみなければわからないというのが実情であると思う。それでは、ビジネスプランというものは無駄なのか?と云えばけしてそんなことは無い。全てを周到に準備しておくことはできないにしても、頭の中にある多角的な分析を社内外に提示する事のメリットは云うに及ばず、現状と将来に対するリスクを管理する点でも非常に有効である。
もちろん、対外的に当社はどのような会社であるか?経営陣はどのような計画で会社を運営しようとしているのか?という事は、取引先、従業員、出資者、その他全てのステークホルダーが知りたい情報である。会社のCFOはその期待に応えねばなるまい。
創業日である8月27日に発表をする予定であったが、スケジュール的に今週後半には予定を空けられそうに無かったので前倒して発表する事とした。尚、細かい修正は逐次行う予定であるので、ご了承願いたい。
いよいよ三年目、初心を忘れずに邁進することを誓う。

2005年8月23日

《ランチェスター》

第一次世界大戦期、イギリスの戦闘機開発に行っていたF・W・ランチェスター(1868年~1946年)は、戦争で双方の兵器・兵士数と戦闘結果被害について、一つの法則を発見した。
ランチェスターの法則とは、「一騎打ちの法則」と「確率戦闘(集中効果)の法則」の二通りからなる。
簡単に説明すると、一騎打ちの法則は二者間の戦闘で一対一で兵士が戦うとすると、兵力差がそのまま戦闘被害に結びつくというものだ。つまり、兵力差A5対B3であれば、5-3でAが2生き残って勝つということだ。もう一つの確立戦闘の法則は二者間の戦闘で集団戦で戦う(兵士が複数の敵を一度に相手にしたり、複数の敵から攻撃を受けたりする)集団戦の場合、被害は戦力の二乗比の差になるというものである。兵力差A5対B3であれば25-9=16(4の2乗)で、Aが4生き残って勝つということだ。
よくランチェスターの法則は、ビジネスシーンでも使われており「一騎打ちの法則」はピアツーピアマーケティングに、「確立戦闘の法則」はマスマーケティングによくたとえられる。
ドミナント戦略が打て、何らかのカテゴリでリーディングになれるならば「確立戦闘の法則」を活かすべきだし、2番手以降であるならば「一騎打ちの法則」で戦うべきだ、ということもいえる。
顧客へのアプローチも当然変わってきて、広告媒体を選択する場合にもたとえ同一のサービスとはいえ、業界順位や地域順位、法人・個人などの差異がある限り、一騎打ちで行くのか、確立戦闘でいくのかによって、最適な媒体は異なる。インターネットやダイレクトメールなどはピアツーピアのツールだから「一騎打ちの法則」に適しているし、新聞やテレビなどは「確立戦闘の法則」に適している。
私が起業するときに、友人が「ランチェスター経営学」に関する本を贈ってくれた。一つの知識は実践を通して私の中で確かに生きている。

2005年8月22日

《RSS》

RSSとは、Webサイトの見出しや要約などのメタデータを構造化して記述するXMLベースのフォーマットである。
元々私は前職でWEB関連の仕事をやっていたために、そちら方面の技術に興味がある。前回書いたウィキやブログについても同様で、仕様に興味を持つのではなくその利用価値を探りたいと思っているのだ。今回はブログ等が吐くRSSの可能性について考えていた。
ブログがここまで普及した今、検索エンジンのクロール方法は必ずRSSを意識したものになるだろう。前回も少し触れたがグループウェアにもウィキ等のツールが使われるようになってくるはずだ。
たとえば、ニュースリリースや最新情報、採用募集などの旬の情報を検索エンジンに拾って欲しい時にこれまでのヘッダや本文による最適化とは比較にならないほどのマッチング効果がすばやく得られるはずである。
たとえば、社内でいくつかのプロジェクトが進行していく時に必要な情報だけ、最新時には必ず、といった方法でコミュニケーションを取るために、カテゴライズされてトラックバックなどの機能を搭載するウィキなどで、RSS管理すれば膨大な無駄同報メールを減らすことができそうである。
そんなことをやっているベンチャーはないかな?と思って探してみると懐かしい社名に遭遇した。
ドリコム
大学時代、マジックサークルの後輩の一人が熱中していたベンチャーである。その頃はASPサービスをメインに展開していたのだが、久しぶりに見てみると大きく成長している。
見知ったベンチャーが自分の興味のある分野で成長している姿を見るのは嬉しいようで寂しいようで。
しかし、先端技術はその技術自身よりも付帯する利用方法や導入にこそ大きなビジネスチャンスが眠っていることが多い。だから起業家が技術に興味を持つのは、遅すぎるということは無いのだ。

企業家の風景」というブログを読んだ。シンプルだが、訴えている内容は大切だと思う。
1) 選挙に行こう。
2) 改革を実現しよう。
3) もっと発言しよう。
同意できる。今回は簡単に自分の政治に対する意見を述べたいと思う。
今回の郵政改革、解散総選挙は久しぶりに胸が躍った。
私はそもそも二院制も政党政治も反対である。二院制などというものはスピードを落とし、コストがかかるだけ全く意味が無い。参院で廃案になり、同案を再び通すためには3分の2以上の賛成を今度は得なければならないので、実質参院廃案の案件をもう一度通すことは不可能だ。それでは衆院の議決の意味が無い。今回の解散総選挙のように首相の解散権があるのは衆院だけなので、民意を問うこともできない。日本の二院制は形骸化した最悪の制度である。
また、郵政法案についても民主党の中にはずいぶん本来賛成な人も多かったのではないか?与党に反対するだけのための反対、ではなく、法案自体に賛否を応えるのが国民の代表たる国会議員の勤めだと思う。政党が議員の意思よりも優先されるという形はそもそもおかしい。同じ党内で、「執行部のやり方が気に入らないから」「法案」を反対した自民党議員に至っては、すでに存在価値そのものが無い。早く辞めることが一番国民のためである。
とはいえ、カネとヒョウが集まるところに政治家は群がらざるを得ない。宮沢政権まで、というよりも自民党が野党に転落する細川政権が始まるまで、政治は自民党のしかも派閥のママゴトで決められていた。そこには議員個人の意思は何も反映されず、ドロドロの金権政治がまかり通っていて、派閥からカネの配分権を巻き上げるために小選挙区制が必要だった。とはいえ、小選挙区制導入という自らのヒョウを減らす改革というのは自民党政権ではできないため、細川政権下で選挙改革が実行されたのだ。今の「派閥」が無力なのは、この一瞬だけ瞬いた自民以外政権誕生のおかげである。
以降、カネは党執行部が握ることになる。
私は郵政民営化に賛成である。公務員削減ももちろん必要であるが、それ以上に財政投融資という灰色の公的資金が国民の見えない場所で非効率に使われているのを止めねばならない。
今回の自民党のように、票田と既得権に絡む政治家を切り捨てて総選挙を戦うのは正しい姿だと思う。
一方で「小泉自民党再選」は反対である。自民党が選挙でもしかったとしても郵政法案は参院で3分の2の賛成票を現実的に取ることはできまい。一方で、カネを握っている党執行部にはもはや党内に反対できる議員は一人も残っていないだろう。郵政法案には賛成だが、実現しないなら他をやるべきだし、独裁者を作ることにも反対だ。だから自民党反対なのである。
一方民主党はどうか。確かに頼りないという点は理解できる。小泉氏に比べ岡田氏にリーダーシップがあるかという点でも疑問だろう。但し、頼りなさという点では細川内閣の7党連立の方が頼りなかった。7党もの方針が集まれば、何もできないだろう。しかし、選挙制度改革という一点だけでもあの頃の酷い政治風土を崩し、現在の小泉改革の土台を作ったのである。今回の民主党はそれに比べれば明らかに政策担当政党としてまとまった勢力を持っている。なによりも自民党と官僚で培ってきた政官癒着を取り除くことができる。いったん既得権を排除した上であれば、多くの行革を実現することができるだろう。
小泉首相は声高に叫ぶ。「郵政民営化に賛成か反対か。」
私は賛成であるが、自民党は選ばない。