2014年3月1日

忘れ物確認

個人情報保護法が施工されて10年、恐らく一番フィールドサービスで厳しくなったのはこの忘れ物関連だ。

エンタープライズであれ、コンシュマーであれ、忘れ物に対するお客様のスタンスは非常に厳しい。

まずはエンタープライズ側の忘れ物事情。こちらは、本来個人情報というよりも、機密情報の漏えい防止の意味合いが強い。第一に入管申請のいる場所への際入管などは、手続きなどを考えても簡単に戻って取りに行く、という事が許されない。当然、忘れ物をしたという事実は現地のお客様を含む関係者全員の知るところとなり、更に多くの人の手を煩わせながら、作業ミスの汚点が色濃く残る。手順書等を忘れたときは更に大変である。手順書は、一般はもちろん、対象のお客様にも見せてはいけない情報(管理者パスワードなど)が記載されている事もあり、機密の塊だ。それが一時であれ管理されていない放置状態になるという事は漏えい事件と捉えられても仕方がないところとなる。現在は、ドライバー1本であろうとも持ち込んだものを忘れるわけにはいかない。事件化された事案を見てきた関係者であれば「忘れ物」の大変さを良く知るのだけど、知らない作業者は認識も甘く、経験の浅い人ほど忘れ物事件を起こすことになる。

次にコンシュマーであるが、何件ものご家庭を訪問する際、まず印字された他のお客様情報を忘れる、という事が致命的だ。何件かご家庭を訪問する事は避けられないので、対策の基本は、お客様宅住所等の個人情報が入ったものは「印字しない。持ち歩かない。データでみる。」というのが基本中の基本。報告書内で、どうしてもサインをもらわなければいけない事もあると思うが、個人を特定し照合しうる二つ以上の情報がある場合には厳密な管理と特別な意識を持つように徹底する。個人情報ものの賠償ほど企業にとっても作業者にとっても恐ろしいものは無い。法人ものを中心に作業を行っている人が個人向けを行うときには、個人情報の恐ろしさをまず認識するところから始めなければいけない。

つまり、法人・個人ともに、現在は忘れ物に対して関係者全て非常にナーバスになっていて、フィールドサービス業にとってこの感度は、一般常識から大きくかけ離れている。「絶対に忘れ物は許されない」という事だ。そして忘れ物事案が明るみに出ると、本人も会社も対応が本当に大変なのだ。

 

そうはいっても、忘れ物等はやりたくてしている人なんていない。注意も必ず受けている。それでも発生する。なぜか。

それは、「お客様確認後、退店前に行おうとする」からである。チェックシートでも大体そのタイミングで清掃・忘れ物確認、みたいな項目が設けられている。しかし現実にはそのタイミングでは遅いのだ。エンドユーザを呼んで、統制に連絡して、という自分だけで完結しない他者を巻き込むタスクの中では、落ち着いて忘れ物確認などはできない。特に現場のお客様が急いでいるときなどは、確認のため呼んでしまったら、そのまま店舗そとまでバタバタしてしまう事は良くあるものだ。そんな状態では忘れ物確認どころではないし、概ねそういう現場で忘れ物は発生する。

だから、忘れ物は自分が落ち着いて確認できるタイミング、つまりお客様を呼ぶ前、退店前連絡を入れる前、に行う必要がある。こざっぱりしてから会話をしなければならない最終タスクに取りかかるようにする。そして、もちろん退店の際には指さし確認。指さし確認は、確認したぞという強力な記憶として最終現場状況が頭に残せる。実際にスコープされる事で現場の異変(自分以外の作業者の忘れ物等)に気がつく事も少なくない。単独作業やリーダーワークをやる際は作業者には是非実践してほしいと思う。