2005年3月7日

《ソニー》

私はソニーが好きである。
製品を心から愛している・・というわけではなく、あの会社の方針や発想、人材の魅力などの部分が好きなのである。今回の出井体制崩壊もこの上なくソニーらしくてすばらしいと思う。
カリスマ経営者が引っ張った創業時代、ブランドを築いた大賀体制。どちらもロマンにあふれていた。そして、どれほど過去の功績のある人材でも、また社長・会長という会社トップであっても、実績が伴わなければ退陣するという透明性の高いコーポレートガバナンス機能を築き上げた出井体制。今回の出井さん退陣はいわば、彼自身が築きあげたシステムにより彼が更迭される結果になったのだ。ボロボロに朽ちるまでとどまり続けたかつてのカリスマ大賀体制を考えると、この短い期間に新しい経営システムを築き上げた出井さんの力量には改めて頭が下がる。
しかしながら、久多良木さんにもソニーのトップをやってほしかったという残念な思いは捨てきれない。リスクを管理するのが企業経営であるのはわかるが、彼のような異才が活きるからこそ、ソニーはソニーらしいのではないか。ストリンガー体制になって、今後はどのようなソニーを見せてくれるのか。本当に楽しみな会社である。