2005年1月13日

《マダム、「その傷はマリニがつけたものだ」、とおっしゃればよいのです。 》

数あるマジシャンの名言で、最も艶っぽく憧れる台詞といえば、マックス・マリニのこの台詞である。
私がこの言葉を知ったのは、マジック界で有名なマジェイアの蔵言集( http://plaza.harmonix.ne.jp/~k-miwa/magic/singen/si_malini.html )からであるが、この説明のエピソードを引用しよう。
ある貴族の家でマリニは、目隠しをした上で、テーブルにばら撒いたカードにナイフを突き立ててカード当てを行った。「ブラインドフォールド・カード・スタビング」と呼ばれる著名なマジックである。
観客は喝采したが、その貴族は貴重な家具を傷つけられてマリニにクレームをつける。その時のマリニの返答がこれだ。
「マリニの付けた傷が在る」事がテーブルの価値を一層高める事を彼は知っていたのだ。
これは、プロフェッショナルとしての心構えとして。また、自分の持つブランドというものの価値について、現在でも非常に参考になる。
しかし、だ。本当にマジシャンのカッコよさをよく表しているエピソードである。