2006年3月17日

《オーバースペック》

「将来のためにあれもこれも」と不必要な機能や使いもしない性能を持たせた機器を持ってしまい結局無駄になってしまう事を我々のIT業界ではオーバースペックと云う。
転じて、これまた我々の深く関わる人材サービス業界では、業務に必要なスキルを上回ってしまう人材をオーバースペックと呼ぶ。
人材採用時の面接内容として、現場の必要とする能力より明らかに高い能力を提示して、実際にその人を採ったとしても、オーバースペックであれば本人に仕事内容について不満が出るし、業務の内容に応じた適切な報酬では能力に十分報いる事も出来ない。
だから、受け入れ側の現場担当者であれば、最低限求めている能力があれば上は良ければ良いほどいいので、「とにかく少しでも良い人間を採ればいいではないか?」と思いがちであるが、上記の点でオーバースペックに良いことはあまり無いのだ。
候補者がレジュメを多少飾ってくる部分の遊びがあれば十分であろう。
一方で、業務に届かないレベルの人材、いわゆるアンダースペックを求める企業があるのだろうか?
通常であれば、考えられない。どう考えても現場が困るからだ。
しかし、実際には頻繁に起こりうる。一つは採用担当者が現地の業務をまるで把握していない場合。一つはとにかく安く採用し責任から何から何まで丸ごと押し付ける場合。一つは会社の現状、特に支払える金額や扱える業務の幅を大きく上回った仕事を請けて、人材側は会社の現状に合せた能力で採ってしまう場合。
業務内容と報酬と人材の能力、急速に発展していく企業にとっては非常にすり合わせていくのが困難な課題であるが、だからこそどの企業も「人事制度」については高い優先順位で整備・見直しを続けるのだろう。
当社も葛藤の真っ只中にいる。