2006年3月18日

《決断》

コンプライアンスという縛りは経営者には重い。
常識的に考えて、「ダメだ。こんな事やっちゃいけない。」と思う事でも責任を持って契約している仕事であれば取り止める事は難しい。
まして、恩のあるお客さんからの依頼だったり、そういう人に迷惑をかけると思えばなおさらだし、既に取り掛かっている業務であれば、無責任に放り出してしまうのは躊躇われる。
しかし、明らかな大問題に目を閉じて、アクセルを踏むわけには行かない。
現場から鳴り響くアラートに背を向けてはならない。
何とか調整して改善してもらいたいが、「改善できないけれど、やってよ。やってもらわないと、困るよ。何とかしてやってよ。何としてでもやってよ。」現場のお客様に届かず一方的に要求を突きつけられるのみ。進めば「玉砕」の一手。
「撤退」の指示は責任者である自分しか出せない。
それは放棄。
それは裏切り。
だけど、それが正義。それが品質。
本当に続けながら改善する事で問題回避はできないものか?
関係者に協力を仰いで、今回だけ凌ぐ事は出来ないものか?
撤退の決断をするにしても、もう少し先でもいいのではないか?
葛藤を重ねるうちに時間が推移し、状況はみるみる悪化する。
「それでもダメだ。うちには出来ない。」
たとえ一時的にクライアントの不況を買っても、誠意を持って謝ろう。
判断を先延ばしにしてしまっては、クライアントが考慮する時間を奪ってしまうだけだ。それならば、きちんと早めに決断して、当社体制以後に改善していただこう。
不当な事も不正な事も私にきちんと報告が上がってきてスタッフが良心に基づいて警告を発するのであれば、トップはブレーキをかけねばならない。それが責任者の存在意義だ。
コンプライアンスの代償は本当に重い。
しかし、決定する時期や手法については最善は他にあったとしても、最悪のケースを避けることを優先しよう。後味は本当に悪い。クライアントに対しては申し訳ない気持ちで一杯になる。それでも胸を張って決断しよう。そして誠意を持って謝ろう。これがトライアンフの総意であり、当社の誇る品質・体質であると信じる。