2006年9月3日

まず起業に必要なもの

この間「企業に必要なのって、まず資金とアイデアだよね。そして組織としての方向性がきまれば、仲間を集める指針にもなるし・・。」という話をインターンの子がしていて、なんかちょこっと違和感を覚えた。
学生でベンチャー志望の子に聞くとまずでてくる単語二つは金とアイデア。ついでビジョン。どうも起業講演かなんかをそのまま引っ張ってきたような似たり寄ったりの話しが繰り返し聞こえてくるような気がするのだけど、この順番って違和感ないかなぁ。
俺ならお勧めはまず自分の経験のある分野、できればお客さんもついている状態で走り出して、安定サービスや商品をつくる。まわしながら財源を確保し、関連のアイデアを付加していく。その過程で、組織体としての理念やコアの意識を固めていく・・という順番だと思うので、「初めにカネとアイデアありき」にはあんまり賛成できない。机上で作った事業計画書とかマーケティング資料では実際って恐くて走れないんじゃないかな。
まぁ、それでも大博打うって成功して、有名になった人もうじゃうじゃいるんだろうけどね。
事業主の本分はローリスク・ミドルリターンだと思っている。投資信託のような経営。社員は会社に色々なものを預けているのだから、「会社」として育てていこうと思うなら、ベンチャーであるからと云ってハイリスク勝負ばかりを志向するのはどうかなぁって。
リスクとリターンは拮抗するものなんだけど、ミドルリターンあたりのものを探せば、時期や規模やその他の経営努力によっていくらでもリスクを軽減できる案件は転がっていて、確実に育てる方法はいくらでもあるのだと思う。
だから、血気にはやるベンチャー志望の子達に水を差すわけじゃないけれど、
アドバイスはいつも
「あんまりおもいっきりやっちゃダメだよ。」
というのだ。
市場最短で上場するのも、時価総額を膨らますのも、メディアや殆どリスクを取らずに実入り得ようとするベンチャーキャピタルだけ潤って嬉しいだろうけど、それってそんなに意味があるかなって。
大きなカネにモノを言わせてM&Aも面白いかもしれないけれど、資金の範囲内で綺麗なオトを響かせるのも企業家の腕の一つだと思う。上を狙うハートはガッツンガッツン燃やしていくけど、自分達の大切のものを見失わないように。
きっと「アイデアとカネ」を起業の基本と考えているんじゃ、本当にその人がやりたい事はできないんじゃないかな。