2012年10月30日

作業品質の向上

サービス品質の向上というのは、基本的な振る舞いがきちんとしているかどうかだ。
現場に余裕をもって到着しておく。着信には必ず可能な限り早く対応する。報告書を漏れなく丁寧に作る。
先手先手で連絡を行う。そういう一つ一つの行動がきちんとできるかどうかという事だ。
一つの作業があったとする。
前日のうちに準備を整えて、疑問点は解消しておく。
当日は早めに到着し、現場にいる旨管理者に伝えて、必要な下調べ(搬入ルート等)を済ませておく。
入店連絡を時間前に入れる。(入店を確認したい人すべてにきちんと伝わっているか意識する)
定期的に作業進捗を報告する。
イレギュラーがあれば、即時連絡を入れる。
完了時、忘れ物が無いかきちんと確認する。
現地のお客様確認を必ず取る。
退店前に完了連絡を入れる。(退店前に入れることにより、追加の指示に対応できる)
退店後にも終了・退店連絡を入れる。
どのような作業であったか、詳細を纏めて報告する。
報告書の漏れが無いか確認し、できるだけ早いタイミングで指定の方法で渡す。
送付する必要があるなら、レターパック等の追跡が確認とれる方法で送付する。
追跡番号を管理者に通知する。
こういう基本的な対応が誰に言われなくても取れるかどうかという事だ。
現場作業が完了するだけでは、案件を完遂できたことにならない。
技術力が高いかどうかというところは、その次の段階だ。
プロは作業が完遂で来て当たりまえ。品質は、丁寧な報告であったり、
確認であったり、お客様の立場に立って、配慮した行動ができるかどうか。
そこができることによって、ようやくサービス品質の一歩目をクリアする事ができる。

2011年3月。
当社は深刻な事態に陥っていた。秋から冬にかけて仕事量はとても多かったのだが、単価がふるっていなかった時期だ。現場が忙しくてついつい遅れがちであった11月分の試算表を見て慄いた。採算性が急激に悪化しており、このままでは資本を食いつぶしてしまう。しかし、この冬は売上的には中々良かったのだ。多少の希望を抱きながら、すぐに最新の試算表を作成した。2月度の試算表が出来上がり、確認したが状況は全く改善していなかった。大きな借り入れをしていたので資金繰りには余裕があった。しかし、その時点での債務超過は疑いなく、さらに問題なのは、その赤字体質がその後も継続するという事だ。
予兆はあった。秋口から新規に取り組んだ軽貨物運搬事業は少ない売り上げに膨大な人件費、先行投資としてつぎ込んだ車両費・保険代、全く採算化できずに撤退した。そもそもその前に、収益を下支えしていた採算性の良い固定案件が徐々に無くなり、メインのお客様からの仕事の単金が大幅に悪化していた事。お客様からもらえずにいるキャンセル料等も作業者には当社から負担していた事。良かった時代に設定したままになっている給料・報酬体系。個々人の感覚からは変わらず一生懸命やっているだけで、その採算悪化の要因は中々把握できなかっただろう。そして私自身、忙しい現場に自らが入る事が多く、全体の採算に目が届かなくなっていた。
厳しい現実を目の当たりにして、目の前が真っ暗になった。試算表も正視できず、手の震えを抑えることができなかった。毎月200万ペースで増え続ける赤字。考える事が怖かった。
妻は冷静で現実を静かに受け入れた。まずは家を出よう。と借りていたアパートを引き払い私の実家に引っ越した。世間では大震災のあった頃だ。
数日もして、様々なことが動き出したら精神的にも安定してきた。当社には信頼戴いているお客様もいるし、創業期から支えてくれている社員もいる。幸いキャッシュフローも潤沢にある。きちんと対応していけば必ず復活できるはずだ。全社員を本社に集め、状況の説明と対策について話し合った。全員に配布していた携帯は営業を除いて回収し、車両は最低限を残して売却、私の車両もこの時の軽貨物車両に乗り換えた。私の役員報酬も20万/月まで下げて、社員にもできる限りの協力を求めた。コスト的にはギュッと削減していったが、震災の影響もあり、決算末までは単月度採算化できない状態で第8期をクローズした。資本金を全て食いつぶした完全な債務超過だった。
2011年7月
東京主導の全国案件が受注でき、この7月8月の官公庁案件で一息つくことができた。何よりも単月度採算が取れてきたのは、精神的に相当救われた。
9月度は振るわず、大きなプロジェクトが無ければ採算化にまだ届いていない状況が浮き彫りになった。ここでもう一度社内の意識の引き締めを図った。
10月~1月は、東京・大阪・名古屋の大きな金融機関案件を受注する事が出来て、また大きく業績を回復する事が出来た。1月以降も官公庁モノを中心に大きな案件をいくつか受注する事ができ、第9期は8期に空けた大穴を塞ぐところまで業績回復できた。
振り返って、採算を上げるために力を尽くした事が2点ある。一つは率先して自らがコスト削減の最前線で戦う事。もう一つは、安易な再委託を控え、自社のスタッフを積極的に採用し、育成し、運用する事によって一つ一つの案件で品質を下げずきちんと採算を上げていく事。そして、一番大事なことは「縮小均衡」を目指さないという事。経営リソースや人材を削っていって、どこかで採算化するだろうという発想では、均衡しないまま縮小を続けて結局潰れていってしまう。経営の本質はあくまでシンプルに売り上げの極大化とコストの縮小化を追い続ける姿勢を崩さない。これに尽きると思う。
そして、採算を第一義にしない事。矛盾するようであっても、採算よりも品質を優先させて考える。一つ一つの仕事を丁寧に行い、信頼に応え、次の仕事に続けていく。それができてこそ信頼の連鎖を作ることができ、その上に採算が積みあがっていくのが、理想であり、純粋にそれを求めていく姿勢が大事なのだと思う。
大きな危機を乗り越えて、第10期に入った。第9期に入った時の危機感を忘れないように、9期初めに社員みんなに送った私のメールの一部を紹介しようと思う。
「利益を会社の第一条件にした時、会社は大切なものを失ってしまいます。
今は本当に利益確保が大切な時期ではありますが、トライアンフは私がゼロから作った会社で、今はお金だけゼロに戻っただけで、大切にしているお客様や社員は、みんなここにあります。だから、復活するのは確信として自信があります。
しかし、恐怖で膝を抱えて眠れない夜を何度も過ごし、みんなの生活を絶対に守ると何度も何度も自分に言い聞かせてきて、そんな中で、事業を自分が続ける強い理由が私にはできました。
「一人でも多くの人に出会い、深く親しくなり、精一杯のサービスを行って、全力で仕事に取り組み、トライアンフに関係する社員も、お客様も、パートナーも全ての人に好きになってもらえる会社でいられるといいな」
理念というには少し長いので纏めると
「みんなに好きになってもらえる会社」
を私は創ろうと思います。
ちなみに、私はトライアンフという会社も仕事も社員皆もお客さんも大好きです。
好きになってもらうなら、やっぱり自分がまず会社を好きでなくちゃね。」
最近入社した人も増え、最近お取引を始めたお客様も増え、そして新しくお付き合いする方々も、当社のホームページから決算書を見て、大きく毀損し大きく回復する状況を確認する事があるかもしれない。この2年間は、試練の時であったし、私を含め会社全体成長する事が出来たと思う。この大変な時期を支えて戴いた全ての方に心から感謝し、第8期及び第9期の総括とする。

2012年8月28日

《決算報告》

第9期の決算報告です。
9期は、大きな案件に恵まれ、また社員の徹底したコスト意識により、8期に作ってしまった大きな赤字を解消する事ができました。1年間苦楽を共にした社員には本当に感謝しております。
また、9期末の大きなチャレンジとして、静岡オフィスの展開を行いました。仕掛けに使った先行投資が9期に含まれており、300万程を取り戻さなければなりませんが、メインのコンシュマは出だし苦戦しているものの学校もの案件等法人向け業務をこの夏季期間受注する事が出来、大きな推進力にすることができました。
しかしながら9期は、プロジェクトものの抜発力が業績回復の決め手になっており、この10期に平常時の安定した採算化を進めていく必要があります。誠実に、一つ一つのサービスを丁寧に行い、お客様の信頼に応えていける1年を心がけて参ります。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

2012年8月24日

インターンシップ

来年の新卒採用に向けて、会社説明会のあと今年はインターンシップを行うことにした。
4名受け入れているのだけど、作業に入ってもらったり事務所で調整を行ったり。
みんな一生懸命だし、費用を気にせず研修できるので注意事項もしっかり伝達でき、作業前にも可能な限り研修を行った状態で現場に送り込める。
基本スキルはあるし、吸収力も高い上、短時間でノウハウを教え込むことができるので、実際にこの中の誰かが入社することになったら戦力としては中々期待できると思う。
8月9月は忙しい時期だ。たくさん経験を積んでもらう事は、うち以外の会社に行くことになっても、きっと将来活きる事になると思う。

プロジェクトマネージャ試験の平成24年度春季結果発表がありました。
去年も挑戦して落ちていた試験だったのですが、何とか合格して良かったです。
今まで情報処理の業界にいながらITパスポートまでしか取得していなかったので、情報のレベル4資格を抑えておきたいなと感じていたので、喜ぶ・・というよりもホッとしています。
午前1は去年通過済みで免除になっており、午前2は80点、午後1は77点、午後2はAでした。
各科目6割とれば通過なので、難易度比較サイトなどでSレベルの最難関という位置づけの割には取りやすい資格で、正直なところ2週間くらい勉強漬けの時間が確保できれば十分仕上がる試験だと思います。この試験の合格率が低い理由はおそらく現実にプロマネをやっている人がロクに勉強時間を確保できていないという業界の現実によるものでしょう。
私が行った勉強方法を紹介します。
まず、午前1と2ですが、翔泳社の「情報処理教科書 [春期]高度試験午前I・II」を買いました。1は去年取得済みだったので、2011年度版です。一度理解しながら通読し、理解できないところは放っておきました。二度目は回答すぐ見て暗記しながらの通読、試験前にざっと問題みて回答がどの項目かわかるかを確認読み。理解度は7割くらいで充分通ります。
今年は午前2だけなので、去年の本の該当項目だけもう一度回答見ながら暗記通読しました。すっかり忘れてましたが、プロマネの項目は他の分野よりもシンプルで理解に苦しむところがないので簡単です。午前1は広い分野で浅く、午前2はプロマネ分野を中心にある程度深くという問題の振り分けですが、去年も感じたとおり午前1の方が勉強に手間がかかりますので、午前1が免除になると格段に午前の勉強は楽になります。一度応用情報以上で午前通った事のある人は、5時間くらい勉強時間があれば間に合います。去年の私のようにまっさらから午前1・2を受けるなら15時間くらいは学習時間が必要だと思います。コツは、理解に時間のかかりそうな理論的な問題と、新規にたまに出てくるような難しい問題は、勉強中も試験中も気にしないという事です。見たことある問題と、簡単そうな問題で6割を切るような事には、そうそうなりません。
次に午後1ですが、私はこれがプロマネの試験の一番難関だと思います。去年はここで落ちました。去年のミスとしては、通読時にちょっと誤解していたことがあって、回答の真ん中くらいで「アレッ?」と気が付いて問題文もう一度読んだら、あぁそういう事ね・・という感じだったのですが、この試験は何と言っても時間との勝負。失った時間は取り返せませんでした。
勉強に使った教科書は、日本経済新聞出版社の「プロジェクトマネージャ完全教本」。この本は前段の対策やら分析やらが面白くて、割とそこばかり読んでしまい中々億劫な内容に踏み込めないんですよね。
対策に、通読して下書きして・・って書いてあるのですが、去年私はその方法で前述の誤解が発生したので今年はやり方かえました。午後1は各見出しごとに設問になっているので、見出し読み終わったら設問いって解いて、次の見出しいって、次の設問読みに行って、という形にしました。あまり沢山短い期間に理解したり記憶したりするのが苦手な人はこっちのがお勧めです。
勉強方法は、実際に書いて解いてみるのが良いのでしょうが、私は読んで回答考えてみて、回答見るという、あまりお勧めできない方法を取っていました。学習時間は5時間程度だと思います。去年は国語のテストみたいなものなら大丈夫と思ってテキストの模範解答を全問一読して終えていたので、2時間程度でした。
午後1は国語のテストのように、文章内に答えのあるケースも半分くらいあるのですが、メンメンと受け継がれるプロマネ試験の模範解答みたいなものがあります。それは、「手戻りが発生してしまうから」とか「相手の担当者で行き詰ったら、その上司に相談する」、「納期・コスト・品質に影響が出る」みないな、何だそれか、のような答えで、パターンを知っておけば、あぁこの手の質問ね、と処理できるのだけど、国語のテストのように文中を探し続けるとさっぱり答えが出てこなくて時間が飛ぶように過ぎているというハマりパターンになります。
あとは、模範解答はシンプルに書いてありますが、文字数いっぱい使った方が有利なような気がするので、句読点は答えに入れないようにすると良いと思います。2問解かないといけないので、1問目は半分の時間以内に片づける意識が大切です。
続いて午後2の論文ですが、学習テキストはTAC出版の「プロジェクトマネージャ午後2 最速の論文対策」と、午後1でも使っていた完全教本。
最速の論文対策と謳っているだけあって、薄くて必要な対策は全部そろっており、これは絶対読んでおいて損はないと思います。実際に去年はこの例題とピタリな問題が出ていて、準備通り書けて自信満々でした。今年は、ちょこっとテーマがずれた感じもしますが、この論文用の部品を作っておく対策は相当活きたと思います。
完全教本の回答は、しっかり学習時間を確保してたくさん書き込んでこないと、ここまで中々制限時間にかけないだろうなぁというものなので、勉強効率としては厳しいでしょう。しかし、論文用の部品作りには参考になるので、読んでおいて損はなさそうです。決め台詞みたいなものは、私もそのまま使いました。
3問中1問回答でよく、その中でも「要員管理」が頻出します。テーマは要員管理に絞って準備しておくのが良いと思います。契約モノやら数字の絡むようなモノに手を出す人は、自分からハンデを背負いに行っているようなものでしょう。
試験中のキモとしては、設問アに時間と取りすぎない(書きすぎない)ことだと思います。後半時間が苦しいので。
しかしながら、これは取りやすい資格だなと感じましたし、文系出身者はきっと情報処理系の資格、基本情報もちょっと敷居が高いのではないかと思いますが、プロジェクトマネージャはねらい目です。何にしても取れて良かった。