仕事というのは幾つかのステージがあるのだけど、それが可視化されている事は少ない。
アルバイトや新人の頃というのは、とにかく指示された事を「正確に・すばやく」行う事が大事。このステージはとにかく分担された何かの一つという作業目的になるので、遣り甲斐というのを考えてしまうとつまらなく感じてしまう。まずは一生懸命目の前の仕事に取り組む事ができるかどうか、ここが大事だと思う。
次のステップは、その仕事は全体の中でどんな役割を担っているのか?周辺業務でできる事はないか?効率アップする為には何が必要か?
そのような目の前の仕事から自分なりに考える姿勢が必要となる。チームの一員であるならば、チームを纏めるにはどうしたらいいか?というのを考えたり、チームリーダーがやっている仕事を積極的に覚えて行く事が大切になる。
視点が「自分だけ」から抜け出す事ができれば後は仕事の質は自分でどんどん上げていける。
仕事をスムーズに行うためにはツールが必要だったり、技術が必要だったり、人の助けが必要だったり、必要なヒト・モノ・カネを調達する手法だったり、一つ一つのノウハウを自分なりに積んでいければいいだけだ。多くはキーパーソンが実践している何かだろうからノウハウは積極的に学んでいければそれでいい。
そしてその上をいくビジネスパーソンは仕事を自らプランニングし、採算化・定型化し、自分がいなくても回っていくようにシステム化する。こうした仕事はイキナリできるわけではなくて、蓄積した知識やノウハウを充分に生かす必要がある。遣り甲斐はあるけれど、ハードでミスもしやすい仕事だ。新人さんや未経験の分野で突然管理職になった人はより失敗する。
現場で蓄積されるものは、自分にとっての技術のような分かりやすいものだけではない。チームに属するメンバの考え方やスキル、人間関係など現場をみなければ理解しがたいものがたくさんあるからだ。特に人の心は難しい。
私は前の職ではスペシャリストの典型のようなスタイルだったが、プランナーとして自分の形を作るにはやっぱりそれなりに時間が掛かった。
どのステップに自分がいたとしても「完成した」と思ってしまったらその人の成長はそこでストップ。環境のデキてなさを嘆いていても何一つ変わらない。
自分なりのもうワンステップは何になるのか、常に考えている人は絶対に伸びると思う。

2007年9月18日

《取材》

8月中旬のバタバタしていた頃、ビーイングから取材を受けました。
以前にも取り上げていただいた経営TOPが語る我が社の戦略の記事ですが、前回とは違った切り口でビジョンを語った記事になりました。
当時、そこまで強く意識して語った言葉ではなかったのですが、今の当社を取り巻く様々な問題点に応える指針として、当社の方針を真っ直ぐに伝えたメッセージになっています。
ボツになっていなければ9月最終週あたりで掲載されると思いますのでまた紹介いたします。

2007年9月18日

思惑

仕事というのは一人ではできない。
大きなプロジェクトほど多くの人が参加する。
それぞれの組織や属する個々人には各自大切にしている想いがあり、一つの目的を達する為には共通の精神的な柱になるビジョンが必要になる。
そしてそのビジョンに共感できる組織や個人が集結してこそプロジェクトを最後まで完遂できるチームになるのだ。
多彩な人や組織を使って何かを成し遂げようとする時には、各自の想いを踏みにじってはならない。思惑が多様にあるという事が認められなければ、けして共感を得るビジョンを提示する事はできないのだと思う。
転職してプロジェクトに参加を希望するキャンディデイトにその人なりの思惑があるのは自然な事だし、サービスの提供を受けるお客様に提供して欲しいサービスに注文があるのも当然の事だと思う。
自分達の目指すゴールに向かって走る際に誰かを想いを踏みにじってはいないか、自分の感情で他社・他人の思惑を完全否定していないか。
走り出したプロジェクトが揺れる際には、共感のゆらぎを嗅ぎ取る嗅覚が鈍ってしまっている事が多い。プロジェクトを率いる立場であるなら、忙しさで鈍くなってしまうときには特に注意が必要なポイントだと思う。

2007年9月11日

人の仕事、人の時間

どうしても大切な仕事は、一番忙しい人に頼む。
「手のあいている人に頼む」事がいかに大きなミスにつながるかを考えてみて欲しい。仕事がデキル人は手なんかいつだって空いていないものだ。
基本的に「忙しい人」=「優秀な人」という構図はビジネスの世界では常識ではないだろうか?
そして忙しい人に頼むのであれば、その人の時間を大切にする事だ。雑務や無用の待機時間で拘束時間を引き延ばすのはおろかな事だし、他のお客様の仕事を無理やりけらせて自分のプロジェクトを捩じ込もうとするのは傲慢だと思う。
何よりもその人を必要とする多くの人達に対して失礼だと思う。
例えば新しいお仕事を引き受ける上で、研修をしてもらえるのはありがたいと思うし、実務に必要な知識であれば研修が必須である事も多いのは確かだ。
しかし、建前として心構えをのたまっておきたい、自分の都合がいい平日の昼間1日しか研修日程を組まず、それに参加しなければ作業に入れない、等の身勝手な事情で、他のお客様の仕事にアナをあけさせて平気な心境は全く理解できない。
自分の大切な仕事に同様の理由でアナをあけられて平気なのだろうか?
不法を強要するお客さんも、不義を強要するお客さんも、悪気があってその手のスケジュールを捩じ込むわけではきっと無いのだろう。ただ人の仕事や人の時間に対して想像力が欠けているに過ぎない。
結果、優秀な人材を自分のプロジェクトから排除してしまうのだ。
一方で人の仕事や人の時間に配慮のできる人間の周りには優秀なスタッフがそろう。効率的で質の高いサービスが生まれる。
人をはじき出して長時間拘束を迫る仕事は人の流出に歯止めが掛からないし、杜撰で低品質のサービスとミスが生まれる。
どう考えてもマネジメントの失敗なのだが、こうしたお客様は失敗を必ず作業者に転化して、よりわけの分からないルールや縛りで現場を腐らせて人を追い出していくことになる。
「相手の身になって考えてみる」
という事が出来ない管理者は、プロジェクトを円滑に回す事なんて出来ない。

2007年9月7日

《予測》

我々は職種上、多くの会社や多くのプロジェクトを見てきたため、現在参加している仕事の顛末がどのようになるのかが予測できるようになっている。それは、危ない橋を避ける意味でもとても意味のあるノウハウだと思うし、提案を入れてもらえれば充分にプロジェクトを成功まで導く事も可能だと思っている。
これらの「予測」というスキルはプロジェクトをマネジメントする上では必須スキルであると思う。しかしながら、現場を掌握していない人間ではどうしても鈍ってしまう。
現在のサービスは求められているものが多様化している。情報保護であったり、法令遵守であったり、お客様常識レベルのクオリティであったり。もちろん従来どおり納期やコストについても意識して取り組まなければならない。
何かについて完全を目指し行き過ぎた取り組みをしてしまうと他の事が疎かになり、そのプロジェクト全体は崩壊してしまう。現場を離れたプロジェクトリーダの良かれと思った施策の「予測」の鈍さが納期を大幅に遅らせたり、品質を大幅に悪化させたり、作業員に次々と逃げられたりする結果につながってしまう。
私が見る限り、マスコミが安易に喧伝する「手抜き」を行っているわけではなく、むしろ一生懸命に取り組んだ結果、大失敗につながるケースのほうが最近は多いのではないだろうか。
では、マネージャの予測能力を上げるにはどのようにしたら良いだろうか。一つは徹底した現場の把握。机上の予算や人・モノのやりくりをしているだけでは、仕事の本質をつかめない。上がってくる報告だけを鵜呑みにしては大切なものを見失ってしまう。もう一つは現地担当者の意見をきちんと聞くことだ。木ばかりを見て森について考えられない技術者の意見は取り上げにくい事が多いかもしれない。しかし現場一筋の視点から思わぬ発見があることも少なくないし、マネジメントを理解する現地作業者がいれば貴重な判断材料になるだろう。
一方で作業者も「予測」のスキルを磨く事を疎かにしてはいけない。目の前の作業をカンペキに仕上げようとするあまり、全体の進捗から外れれば多くの人に迷惑をかける事になるし、作業を急ぐあまり報告や連絡を疎かにしたらサービスのクオリティにどのような影響が出るかと考えねばならない。
結局は「予測」する目を曇らせてきたのは、現場とマネージャが離れすぎてしまっているからなのだろう。セクショナリズムに陥って、部分的にカンペキを求めだしたときに、プロジェクトは燃えてしまうのだ。