2016年5月6日

バランスシート

私は学生の頃から一応投資家だったし、証券会社にいたし、経営者になったのだから、決算書類を見る機会は一般の人より多いと思う。専門家よりはずっと少ないけど。でも、見ている項目や数字は、私のその時々の立場によって前々違うものを見ている。
投資家サイドの視点では、何はともかくPBRやらROEやら。つまりは、資本だの資産だのを使って、利益をどう稼いだかって指標が大事だった。所謂効率性の所だ。配当を受けるにしても、キャピタルゲインを得るにしても、その会社が利益体質かどうかは気になるしね。
一方、今の立場からいうと、自分の会社の株主は今のところ私だけなので、正直配当なんてもらってないし、利益の効率性なんて全然興味が無い感じになる。特に、今みたいに金利が限りなく低い状態なら、現金でジャバジャバしていても金利負担なんて本当に大したことが無い。では、何が気になるかというと、一にも二にも安全性。潰れない事が大前提で、資金繰りに余裕をもって経営する事。そして安全が確保できたら、出来るだけ資本を分厚くする事。
ということで、最優先は、手元流動性。すぐ使えるお金が月商の何か月分あるか。という事で、資産の中の現金保有を高めておくのは大事な事。次に当座比率。流動負債を、直ぐに現金化できる流動資産で安定して返済できるかどうか。このあたりは、充分に余裕を持っておきたい。資金繰りに窮すると、そればっかり考えなきゃいけなくなって経営の他の重要な思考ができなくなるから。
このあたりの短期の安全性が満たせていたら、純資産で月の売掛が賄えるかなとか、自己資本比率をある程度高めたいとか、資本を分厚くさせていく事に注力していく事になる。

と、まぁ、自分の会社をみる時には、そんな感じです。
銀行さんに説明する時は、自分の見方と共に、数字の中で乖離する可能性のあるものを説明。特に、回収困難になっている資産(売掛金等)は、返ってこない可能性も踏まえてマイナス評価しなきゃいけないだろうから正直に話す。当社からの貸付金や仮払金の内容を話す。貸付金は戻ってこない事も考えられるから。仮払金は、うちの場合主に交通費なので、翌月には清算されるけれど、金額大きくなっているから。あとは、棚卸資産とかだけど、そのあたりはうちは適性で額も少ないと思う。それと、月を跨ぐ案件。
期になるのは、貸したお金が返ってくるか、という所だから、決算資料の数字の実際の所が知りたいのだと思う。

最近は、銀行のバランスシートの注視点が大分わかるようになってきた。なぜかというと、私が取引先調査をしたり、売掛金が焦げ付いて債務化したりする時に見ているバランスシートの見方と似ているからだと思う。

何にしても、バランスシートを眺めるたびに、自分は金融出身で良かったなぁと思う。普通経営者ってどこで決算書見る力を身につけるもんなのだろ。

2016年3月11日

採用

新卒採用シーズンがやってきた。
時を合せて、全国的な作業者の募集も行っていて、採用の難しさを感じている。
我々の主な仕事であるフィールドエンジニアという職種は、現場作業は結構楽しい仕事だと思う。デスクワークで一日事務所に張り付いている事も殆ど無いし、肉体的にムチャクチャしんどいというような作業も滅多にない。
ただ、時間は不規則だし、土日や祝日に作業が食い込む事は良くあるし、出張も頻繁にある。
オンサイトコールで走っていくいわゆる「365日24時間駆けつけ」的なサービスを行っている会社であれば、ハードになりがちな業態だ。うちの会社は今の所、夜間での駆けつけ保守業務というのは受けていないので、それだけでも同業に比べると相当所属員の負担の軽い会社だと思う。
あと、エンドユーザで、サービスが止まったり壊れたりして怒っている人は当然一定数いるし、気難しい担当者なんて当然いる。これは、どんな職種でどんな仕事だっていると思う。

新卒で採る社員というのは、上記のような「現場」では最後の砦でもあるし、複数で行う時にはリーダーでもある。甘えが許される現場なんて当然ないのだし、学生気分のまま仕事されると関係者は一斉に迷惑を被る。
その上、社員には現場だけではなく、社内業務も待っている。お客様調整であったり、手配業務であったり、部材調達であったり、請求書等の書類作成であったり。現場で作業したら自動的にお金になる、と思っている「常識」から、バックオフィスの仕事が大切で必要な事なんだ、と理解できる人は少ない。働いたことが無ければもっと少ない。

こんな感じの事を真っ直ぐ正直に伝えて、その上で一緒に頑張ってくれる人を一人でも二人でも見つけていく事。
経営の根幹は人事だし、うちみたいにサービスを売りにしている企業であればより重要だ。
来週も説明会あるし、直接応募してくれる大学生も少しずつ増えてきているので、精一杯採用活動頑張っていこう。

2015年11月13日

経理会計改革

当社の業界は月々によって売り上げも変動費も大きく変わる。
去年までの様に期間の長いプロジェクトを請けている時には比較的穏やかな変化だが、一番得意としている短期型のプロジェクトを積み上げている場合には、次月の予測も殆どつかない。
だからこそ月々の数字はなるべくリアルに欲しいのだけど、これがなかなかまとまらない。
大切な事は、暫定の数値を見る事だ。
今までは、顧問税理士さんの方針もさることながら、社内でも確認が終わって確定した数値しか上がってこなかったので、試算表を確認できるのが何か月も後になったりしていた。
嘗ての経営危機の際も、本格的に状況が危ういのに気が付くのが4か月も経ってからだった。
今は体制が膨らんでいて、精度よりもスピード感がより求められる。確認はもちろんしっかり取らなければいけないのだけど、まずは暫定でも数字をどんどん吸い上げて行こう。

2015年10月13日

潮流

真剣に仕事をしていると、長い期間の中で「流れが変わったな」と感じることがある。
市場の温度感だったり、採用状況だったり、国際情勢だったりするのだけども、少し前までの押せ押せな感じは相当薄まっていて、今は結構そのネガティヴ側に振れている変化を感じる。
うちの会社としては最近取引先の拡大や案件の増加で、むしろ運用が苦しいところだから、積極拡大に取り組んでいるのだけど、こうした外部環境が弱気の中での自社状況が強気という状況は、アクセルの踏み間違いでとんでもない事になってしまうので要注意だ。
今年の下半期は引き合いも多く、順調に推移しそうだけど、肌感覚を大切に、一つ一つを丁寧にやっていこう。こういう、潮流の変わり目はとても大事。

2015年8月28日

第12期決算総括

第12期の決算総括です。
本期はXPからの交換需要が一服し、業界全体は低調なスタートの後、「IT業界の2015年問題」という業界の大型案件が集中する事による技術者不足が目立つ波の高低の激しい展開になりました。当社と致しましては、本期を通じた大型案件を受注していた為、概ね予測通りの期となりましたが、人材の確保が思うように進まず受け切れなかった仕事も多かったと思います。
お客様を始め関係者の方々には、心より御礼すると共に、私の力不足をこの場をお借りしてお詫びいたします。

決算の細部を見て参りますと、年商5億2千万はお客様需要に愚直にお応えしていった結果積みあがったものだと思います。派遣業の免許更新のために思い切った益出しに走った前期ほどは、コストを絞りつくさず、社員、作業者、パートナー各社にも適正にお支払した上で、利益を上積む事が出来ました。
そして、懸案となっていた本社移転も完了し、本社のコントロール機能強化を推し進める事ができました。
また、本格的に全国展開案件をたくさん受注した期でもあり、全国パートナーへの訪問や研修を含め、積極的なパートナーシップの強化を計った一年でした。
雇用している社員の増加及びパートナーの増加もバランスよく、利益を崩さず品質を保ち、お客様への経費負担も軽くなった事のよくわかる決算だと思います。
一方、広告宣伝費は大きくかかり、費用対効果としてはとても残念な結果になっている事も事実で、この人材を確保しづらい環境は今期も継続しそうなところです。

今期は、この8月で1年以上の大型案件がクローズし、その売り上げの穴をどのようにカバーしていくのかというところが一番大きな課題となります。
先に記載した2015年問題による足元の供給不足感等はございますので、外部環境は悪くありません。まずは適正な規模感に会社体制を再編し、その上で的確に需要を吸収できるようにしていく必要があると思います。
市況としては、パソコンからスマートデバイスへの変更が急速に進んでいる事もあり、「フィールドサポート」という業態はパソコンを主眼にしてみると急速に逓減しており、スマートデバイスキッティングは大きななボリュームが出ています。また、コンシュマ再編が進んでおり、従来のコンシュマ需要が減りつつあり、一方今後はHEMS等の電力とITの融合モノの流れが来て、IP6やIOTの本格普及が始まりだした際に、とても大きな波が来るという狭間の期間になりそうです。

当社は、これまで培ったお客様との信頼関係をより積み増していくとともに、時代の変遷に対応するためのチャレンジや技術研鑽を怠らず、品質を重視した経営を今期は心がけていきたいと思います。
また、今期は海外チャレンジを行うべく、カンボジアに事業会社を設立し、運営いたします。
ご関係者の皆様には変わらぬご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。