2014年9月1日

アサイナーの資質

我々の業界で、業務に人を割り振っていく仕事をアサインと呼び、アサインを主に担当する人をアサイナーと呼ぶ。

派遣業界では、コーディネーターと呼ばれるポジションだが、私のイメージするアサイナーは、もっと短期間で人のやり繰りを行うポジションのイメージが強い。

良いアサイナーは急には育たないし、権限も大きく判断や交渉に携わり利益に直結するポジションなので素質の良い人をじっくり育てる必要がある。

また、拠点の責任者には、一度は経験しておいてほしいポジションでもある。

そんなアサイナー、どんな資質の人が向いているかを考えてみたい。

 

1つ目は、即レスができる事。

考える時間も大切だし、複数の案件・複数のお客様の利害を調整する必要もあるので、どうしても返答が遅れがちなポジション。しかし、現在のステータスや、そもそもの受注可否、受け入れ余力、保有戦力のレベル、或いは、どのくらい待てば予測が立ちうるか・・という所を、お客様である発注者、相談者は知りたい。中間報告レベルを細やかに早くレスする事は、アサイナーの品質を考える上で最も重要。

2つ目は、採算が理解できる事。

これは、自社側の要因なのだが、アサイナーは調達の最前線。ここの採算意識が薄いと大規模で優秀な調達能力を有するパートナー会社に高額で丸投げするケースが増えて、高コスト体質となり採算性が一気に崩れる。アサイナー自身は電話一本で仕事が終わり、ラクができるのだけど、汗をかかないアサインではスタッフに仕事が回らないし、何より会社が稼げない。反対に、スタッフケアが行きすぎるアサイナーもスタッフの満足度は高いけれど会社にとっては負担が大きくて、案件で出るはずだった利益をアサイナーの残業代で全て消し去ってしまうなんて事が実際に起こり得る。一生懸命、効率よく、常に採算を意識する、そうしないとアサイナーという職種は成り立たない。

3つ目は、現場を理解する事。

うちの業界では、アサイナーと営業だけが社員で、現場は全員登録スタッフやパートナー会社というケースが多くて、現場を知らない、理解できないケースがとても多い。アサインというのは伝言ゲームみたいなものなので、間に入っているプレーヤーが理解できないと、作業者に情報が届くまでに情報の質が格段に落ちてしまう。それは品質に直結する問題なので、アサイナーは現場理解力を持っておく必要がある。

4つ目は、親しみやすさ。

アサイナーの重要な仕事に調整や交渉がある。お願いする事が多くなるので、当然お願いを聞いてもらう資質というのがとても大切。ともすれば、権限の大きいポジションなので、若い子がアサイナーのポジションにいると謙虚さを失いがちな事も多いのだけど、ビジネスライクに捌いて何とかなるレベルのアサインではとてもお客様の要望は達成できない。人が好きであり好かれる性格や努力がどうしても必要なポジションだと思う。

最後の5つ目は、断らない事。

アサイナーが一番仕事をラクにしたいと思うのなら、手配しない、或いはできない理由を並び立てればそれで終わってしまう。打診の電話やメールが面倒だ、新しい人間関係の構築はリスクが高いと言って、断っていくたびに仕事は来なくなり、視野は狭くなり、コストは高くなる。まず請ける前提で思考し、行動し、交渉し、真っ直ぐに行動していくから、結果も出るし信頼もされるようになる。スタッフにも仕事が回る様になる。

 

うちの会社の強みは、良い作業者が多い事はもちろんだけど、アサイナーが良いという事。営業の弱さを運用でカバーしているという所でもあるのだけど、良いアサイナーを育てていくのは大切な事だと思う。

2014年8月29日

第11期決算総括

第11期の決算総括です。
本期はXPからの交換需要を中心に、業界全体が特需に沸いた一年となりました。お客様、社員を始め、関係者様にはご無理をお願いする事も多く、この場を借りまして御礼申し上げます。
9期、10期の好調さの勢いを減ずる事なく、堅調な受注に支えられ、年商も4億弱まで伸ばすことができました。本社も売上を伸ばしてきましたが、本期に力を入れて参りました東京・大阪が機能的に動くようになり、売り上げ貢献できるようになってきた事が受注量の伸びに繋がりました。
また、大型案件の受注と共に進出いたしました、北陸オフィスも3月以降順調な滑り出しで稼働し、中部圏は静岡・北陸という抑え、大きな強みを持つ会社として認知が進み、全国案件も受注しやすい営業基盤が出来ました。
この11期決算では一般派遣業の許認可更新要件を満たすために、資産要件を満たすため利益を積みに行きました。利益確保策として、手元スタッフの拡充に努め、求人の広告宣伝費は10期の88万円から482万円に増えてしまいましたが、受注の受け皿を積み増し、全体としてはコストを削減し、利益を確保できる体制で運用する事が出来ました。
財務状況と致しましては、三菱東京UFJ銀行様及び名古屋銀行様より追加の融資を戴きまして、ほぼ倍増した受注に対しても余裕を持った資金運用で対応する事が出来、決算時期にも概ね運用金額の2か月分のキャッシュを手元に置いておく万全の財務基盤で運用する事が出来ております。
さて、第12期となる今季の特徴と致しましては、大型案件で通期の受注が概ね見えていることです。経営する上で安定受注が確保できている安心感は大きく、その上での積み上げを狙っていく展開になるかと思います。
市況としては、XPからの交換残作業及び、Windows Server 2003のサポート終了に伴う交換需要、五輪開催に向けてのインフラ整備等今期もプラスの要素が多く、都市圏を中心に底堅い景況が期待できると思います。
12期に向けての課題と致しましては、東京オフィスの受注力強化。上流工程を担当できる技術者の確保。営業人員強化を図りたいと考えております。
それでは、今後ともご支援の程、何卒宜しくお願い致します。

2014年8月14日

決算処理

当社は6月決算なのですが、11期は一般派遣の許可更新の必要もあり、純資産で2千万円を作る必要がありました。

これまでの資本金と利益剰余金で1300万円なので、税引き後に700万の追加・・。

事業規模が大きくなってくると、どうしても無駄な間接労働をする人が増えてきて、そこを最適化していかなければ利益が残せないのですが、これがなかなか難しい。

同様に事業規模が大きくなれば運転資金もたくさん必要となり、もともとの1千万の資本金だけでは当然足りず大きな借り入れをすることになる。

ずっと借り入れに頼って事業規模を拡大していくわけにもいかないので、純資産の厚みはどうしても必要になってくる。

増資をするか、利益で積むかなのだけど、増資は自分個人側に増資資金を落としてためておく必要があるし、増資する事によるデメリットもあるので、やっぱりある程度は利益を積んでおく必要があるのだ。

ということで、数字の良い事に必要以上に浮かれず、ギュッと締めながら営業する事が大切。

特に今回の様にXPからの変更需要みたいな特需のあった翌年はかじ取りが難しい。

悪い時は悪い時でもちろん経営は難しいが、良い時は良い時で難しい。

2014年7月1日

第12期を迎えて

11期はXPからの切り替え需要で、当社も忙しい1年でした。

社内の雰囲気は明るいのだけど、気が緩んでいる様な所もあり、反動で収縮する市場とどのように向き合っていくかが大切な一年になりそうです。

夏場は文教系で予算がついているところも多く、今年の夏はこのまま大規模な感じのまま展開が進むとして、秋以降にどこかまで大きく売り上げを伸ばした後でシュリンプしていく市場と戦わないといけません。

実際に4月5月は、底値を押し下げる業者が蔓延って金額的には相当苦労する事になった。同時に、労働市場に目を向けると、決してスタッフを取りやすい環境には無い。つまり、作業者は集めにくく、金額は押し下げられるような状況に現在はなっていると思います。

見かけ上は、3月までに膨らんだボリュームの仕事量をさばいていた人材が4月から相当ダブついているように見えるのだけど、実際には固定で採った人はダブついているが時間と共に溶け、短期で補充するのは非常に難しい、といった状況だろうと思います。

お客様からはそれが見えづらく、4月以降の値下げ競争に躍起になっているみたいだけれど、この夏で膨らむ一時的な需要にこたえる事は難しく、未達になってしまう作業者が一定の割合で出てくるのだと思います。

 

そうはいっても、目先を超えるところには縮小するであろう市場が残るわけで、今期は難しいかじ取りが迫られます。

特需は素直に喜んで、過ぎたらきちっと締め直す、こんな対応がきっと今求められているのだと思います。

セキュリティの厳しいICT業界で、何かを発信するという事は、それだけきちんとした発信者としての意識とモラル、覚悟が必要だ。

当社で面談する作業者には、フェイスブックやツイッターに作業に関する情報を一切書かないで下さい。とお願いしているのは、全ての人が発信者としてのモラルやセキュリティ意識を教育されているとは限らないからだ。ソーシャルメディアが発達して、便利になった一方、セキュリティ教育を担う企業体の体制はまだまだ万全とは言い難い。お願いしても、機密契約を結んでも、そもそもの作業者モラルが低ければセキュリティ事故のリスクは存在し続ける。

ある通信業者からは、フェイスブックの写真にストラップがちらりと映っている指摘を受け大騒動となり、ある取引先からは一人でも「作業現場名ナウ」みたいな表記がツイッターに書かれたのが発覚したら以降取引禁止と釘を刺されている。

私もそうだが、当社の業界にいる管理者は、ソーシャルメディアに関する問題を考えるたびに、胃の痛くなるような心配をしていると思う。まずは継続啓蒙。